2007年11月19日 (月)

「Manu Katché」Playground

★CDのご購入は → こちらからどうぞRemotebuyjp1 Img_ecm_2016★曲目
1.Lo
2.Pieces Of Emotion
3.Song For Her
4.So Groovy
5.Morning Joy
6.Motion
7.Project 58
8.Snapshot
9.Possible Thought
10.Inside Game
11.Clubbing
12.Song For Her, var.
★アーティスト★
Mathias Eick trumpet, Trygve Seim tenor and soprano saxophones,
Marcin Wasilewski piano, Slawomir Kurkiewicz double-bass,
Manu Katché drums, David Torn guitar on Lo and Song For Her (var.)
★作品レビュー
Manu KatchéをリーダーとするECM新進気鋭の若手プレーヤーによる「Playground」。新鮮でありながら渋くメロウでホットな小粋なジャズがいい。そのサウンドはジャズ史の変遷の中で確実に進化をを遂げたオーソドックスなコンテンポラリー・ジャズである。「Song For Her」は最高にしびれるたまらない曲だ。秋の哀愁にマイルドなサウンドがとけていく。この作品は、しみじみ多くのさまざまな音楽を聴いてきてよかったと実感する、そんな懐の深い傑作である。当たり前と思えるサウンドに新たな音楽が芽生えていることに喜びを覚える。(一幸斉)
★アルバム・データ
Recorded January 2007
ECM 2016

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2007年11月10日 (土)

「Easy Living」Enrico Rava

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Img_ecm_1760★曲目
1.Cromosomi
2.Drops
3.Sand
4.Easy Living
5.Algir Dalbughi
6.Blancasnow
7.Traveling Night
8.Hornette And The Drums Thing
9.Rain
  
  
★アーティスト
Enrico Rava trumpet, Gianluca Petrella trombone, Stefano, Bollani piano,
Rosario Bonaccorso
double-bass, Roberto Gatto drums,
★作品レビュー

◆ECMのアーティストの中で、"ストレート・アヘッドなジャズを演奏させたらこの人"と言うくらいカッコイイのが「Enrico Rava」ではないだろうか。アーティストも録音もイタリアンで決めた「Easy Living」。楽曲はEasy Livingの他は全てRavaのオリジナル。アルバム全体がホットなイタリアン・サウンドでメロディー・リズム・アンサンブルが粋きでグッド。とにかくRavaのトランペットが最高!極上のフルボディーの赤ワインのように、濃厚な深みのある熱いトーンがなめらかに響き渡りハイトーンに痺れメロウサウンドに酔う。その音にはイタリアン・リリシズムを感じる。むろん演奏はアンサンブルからアドリブまで超すこぶるカッコエェー。そしてサイドメンがまた素晴らしい、さすがRavaをサポートする面々は実力・魅力ともに凄い。ハイレベルなイタリアンを絶妙な傑作に仕上げたECMに拍手!(一幸斉)
★アルバム・データ
Recorded June 2003
ECM 1760

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2007年11月 5日 (月)

FRIFOT Japan Tour 2007

◆来る11月11日、Frifot東京公演がある。待ちに待ったコンサートで楽しみです。
Img_frifot

◆北とぴあ 国際音楽祭2007にて、結成20周年記念を迎えるFrifotの東京公演が11月11日に行われる。Frifotは北欧フォーク・シーンの大御所で地元レーベルほかECMからも作品を発表している。ECMフリークの一幸斉はLena Willemarkの大ファンで、その声の魅力に惚れ込んでいるため、久々の涎もんのコンサートである。後日、ライブレポートをアップしたいと思います。
■出演 FRIFOT  Lena Willemark レーナ・ヴィッレマルク:ヴォーカル、フィドル他
 Ale Moller アレ・メッレル:マンドーラ、セリフロイト(柳笛)、ハーモニカ、ボーカル他
 Per Gudmundson ペール・グッドムンドソン:フィドル、ヴォーカル他
■尚、チケット情報および興味のある方は「音楽を聴く仲間の会」へ確認してみてください。
(一幸斉)

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姉妹ブログ「Musikの幸せ」をスタート。

◆11月より「Musikの幸せ」をスタートしました。ECM以外のさまざまな音楽記事をアップしてまいります。「ECMの幸せ」「路地裏の幸せ」と併せて、御愛顧の程を宜しくお願いします。
 「Musikの幸せ」は一幸斉の音楽遍歴から、雑多なネタがランダムに登場いたします。ジャズやクラシックをはじめ民俗音楽や現代音楽にいたるまで、さまざまなジャンルのCDのレビューから、コンサートやライブのレポート、密かに始めているPC音楽製作のこと、楽器や音響機器の紹介など・・・・・ご期待くださいませ。どうぞ、お楽しみに!(一幸斉)

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2007年10月27日 (土)

「To Be Continued」Terje Rypdal

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Img_ecm_1192_4★曲目
1.Maya
2.Mountain In The Clouds
3.Morning Lake
4.To Be Continued
5.This Morning
6.Topplue, Votter & Skjerf
7.Uncomposed Appendix

★アーティスト
Terje Rypdal electronic guitars, flute
Miroslav Vitous acoustic and electric bass, piano
Jack DeJohnette drums, voice
★レビュー
◆ECMを代表するギターリストの一人である北欧ノルウェー出身のテリエ・リピダルのリーダー作品「トゥ・ビー・コンティニュード」。1981年録音の本作品は78年録音の前作品と併せて、今思えばかなり画期的な傑作であったことを強く感じる。インプロヴィゼーション(即興演奏)はジャズにおける最重要ポイントではあるが、アレンジ・アンサンブルに多重録音を駆使しながらのアプローチは、コンテンポラリー・ミュージックの視点から見ると、現在のコンピュータを駆使した音楽製作を考える上で興味深いと感じる。
 さて、その本作品はリーダーのテリエ・リピダルの妙味が最大限に発揮されているといっても良かろう。ギターリスト出身の一幸斉としては大好きな演奏である。しかし本作品の凄さは、名実ともにジャズ界最高峰のドラマーといっても過言ではない"ジャック・ディジョネット"とチェコスロバキア出身の天才ベーシスト"ミロスラフ・ヴィトウス"との競演に尽きると思う。やはり、このメンバーでなければ成し得ないインプロヴィゼーションが凄い。1980年代はクロスオーバーとかフュージョンという音楽ジャンルが台頭する時代であるが、そんな背景に迎合することなくコンテンポラリーなジャズをクリエイトしていることに本作品の最大の価値が存するように実感する。さすが10年後の響きを大切にすると評されたマンフレート・アイヒャー氏の感性に敬服する。30年近くを経過して作品の真価が明らかになってくるとは・・・・・・、やはりECMは凄い!(一幸斉)
★アルバム・データ
Recorded January 1981
Talent Studio,Oslo
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Cover Photo: Milan Horacek
Liner Photos: Roberto Masotti
Design: Klaus Detjen
Produced by Manfred Eicher
ECM 1192

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2007年7月23日 (月)

「Fish Out Of Water」 Charles Lloyd Quartet

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Img_ecm_1398『フィッシュ・アウト・オヴ・ウォーター』はチャールス・ロイドによるECMからの第一作目であるとともに、彼の音楽キャリアにおいて晩年へ賭ける本格的な再起の作品として大変興味深い。
 彼はコルトレーンの影響が強いが、そのスタイルを基本にしながらも独自の音楽スタイルを深化させている。静寂のカンバスに描き出される、無駄を削ぎ落としたスピリチュアルなトーンとサウンド。その音には、彼自身が人生の晩年にさしかかりながらも、過去・現在・未来をしっかり見据え前進を止めないという、強い信念と確信を感じる。優しく語り掛けるメロディックな美しさと、響きの奥に秘められている熱いメッセージに涙腺が緩む。この作品は只管に聴くべし、感じてくるまで只管に聴くべし。彼のひた向きなジャズメンとしての振る舞いに敬服・感銘。ちなみに、ジャケットのアートは彼の伴侶である「ドロシー・ダー」によるもの。
 ECMの、アーティストの本質をしっかり捉えた、地に足が着いた新鮮かつ大胆な作品制作に敬意を表する。(一幸斉)

★アーティスト
Charles Lloyd tenor saxophone, flute,
Bobo Stenson
piano,
Palle Danielsson double-bass,
Jon Christensen drums,
★アルバム・データ

Recorded July 1989
Rainbow Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik kongshaug
Cover Painting: Dorothy Darr
Cover Design: Dieter Rehm
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1398  ◆ライヴ・イン・モントリオール超オススメDVD作品(一幸斉)

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2007年7月17日 (火)

「A Closer View」 Ralph Towner, Gary Peacock

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Img_ecm_1602ECMを代表するギターとベースの大御所、ラルフ・タウナーとゲーリー・ピーコックのデュオ作品。この「A Closer View」は情景描写が実に豊かで、聴き手がそのイメージを大きく膨らますことができる点では特筆すべき名盤であろう。散歩のお伴には絶妙な楽しさがあると想像する。
 アルバム全体のイメージと構成が明確で最後まで飽きることなく聴ける。楽曲ごとの曲想も大変ユニークで、インプロヴィゼーションとアンサンブルが絶妙で心地よい。冒頭のOpalesqueはオパールの光のシャワーを浴びているような感覚が爽快だ。郷愁的メロディーが美しい7曲目のPostcard To Saltaと9曲目のAmber Captiveは、心にガツンと響きそしてジンジン沁みる。デュオというユニットを超越したミニマム・オーケストラに拍手。(一幸斉)

★アーティスト
Ralph Towner classical and 12-string guitars, Gary Peacock double-bass,
★アルバム・データ
Recorded December 1995
Rainbow Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik kongshaug
Cover Photos: Jean Guy Lathuiliere
Design: Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1602
ラルフ・タウナー音楽書籍 ギターリストは必見の書!

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2007年7月12日 (木)

「Goodbye」 Bobo Stenson

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Img_ecm_1904■ ECMには多くの素晴しいピアニストが存在するが、その中でも私はボボ・ステンソンが一番好きである。思うに現時点において、彼の最高傑作と言ってもいい作品であろう。燻銀の極み、匠なる音の絵師の如く、静寂の空間にこぼれ落ちるトーン、そして柔らかく広がるサウンドと語りかけてくる説得力あるフレーズ。アルバム・ジャケットの美しい写真に象徴される摩訶不思議な魅力に脱帽。おそらく比肩・類似する作品はまず皆無であろう。
 ボボ・ステンソンのピアノは質実剛健、リリカルで音に無駄がない。奏でるフレーズには説得力と個性が光る。そういう意味ではキース・ジャレットとは全く違う魅力を備えたピアニストであろう。ベースのアンデシュ・ヨルミンは、柔軟なアンサンブルに長けたテクニシャン。その意味においてだが、ピアノトリオのベースという存在で個性は全く違う訳だが、スコット・ラファロ(ビル・エヴァンス・トリオで有名)を彷彿とさせる感がある。ドラムのポール・モチアンは、古くはビル・エヴァンス、菊池雅章(デザートムーン)、マリリン・クリスペル等とのピアノ・トリオのキャリアには凄いものがある。その独特な存在感とスティック捌きは、まさに彼はピアノ・トリオのために生まれてきたドラマーではなかろうか。
 さてアルバムの内容だが、冒頭に述べた如くの極上の演奏であることは間違いない。そして幅広い選曲は、3人のボキャブラリーの深さに敬服。よって曲ごとのコメントは必要なかろう。(一幸斉)

★アーティスト
Bobo Stenson piano, Anders Jormin double-bass, Paul Motian drums,
★アルバム・データ
Recorded April 2004
Avatar Studio,New york
Engineer: James A,Farber
Assistant: Aya Takemura
Cover Photos: Ioannis Voulgarakis
Liner Photos: Robert Lewis
Design: Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1904

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2006年5月 6日 (土)

「Jimmy Giuffre 3, 1961」 Jimmy Giuffre

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Img_ecm_1438■「ジミー・ジェフリー 3, 1961」ECMリミックス版(オリジナルはヴァーヴ)。40数年前という時を越えなければ実感できない作品の素晴らしさに脱帽感銘。クールで斬新な曲想は愛嬌やロマンチックな香りが心地よく、サウンドに年代的なレトロさを感じさせつつもアンサンブル・インプロヴィゼーションのバランス感覚が新鮮である。シンプルかつ濃厚な力強さは、まるで極上のヴィンテージワインを味わうようだ。ジミー・ジェフリーの郷愁を帯びた音は、どこか尺八に通じるものを感じて心に沁みる。そして若かりしポール・ブレイとスティーヴ・スワローの実力と感性の輝き・深さに敬服する。10年・20年と時を隔てるほどに作品の実力が現れてくる様は、まさにECMならではの魅力であり音質もECMリミックス版だけあって文句なしのクオリティーと空間表現が最高。こういう作品に触れて思うに、「昨今、巷に溢れるジャズが退化して聴こえる?」という思いに駆られる。時の流れに埋もれかけそうな名作に光を当たリミックスに敬意を表します、マンフレート・アイヒャー 殿。(一幸斉)
★アーティスト
Jimmy Giuffre clarinet, Paul Bley piano, Steve Swallow double-bass
★アルバム・データ
Recorded March and August 1961
Originally produced by Creed Taylor for Verve
Engineer:Dick Olmstead
Remixed June 1990
Rainbow Studio, Oslo
Jan Erik kongshaug, Manfred Eicher
Photos: Herb Snitzer
Cover Design: Barbara Wojirsch
Reissue Produced by Manfred Eicher, Jean-Philippe Allard
An ECM Production
ECM 1438

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2005年8月13日 (土)

「Making Music」Zakir Hussain

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IMG_ecm_1349◆ジョン・マクラフリン「シャクティ」のメンバーでもある驚異のタブラ奏者ザキール・フセイン名義のリーダー作「メイキング・ミュージック」。 
 この作品も芸術性の高い大人のスローミュージックと言えよう。ジョン・マクラフリン、ヤン・ガルバレク、ハリプラサド・チャウラシアという4人が、超絶的音楽世界を通り抜けてたどり着いた悟りの境地という雰囲気が心地良い。
 サウンドはマクラフリン色とインド的モードが支配するが、ガルバレクの参加が微妙なサウンド・コントラストと音楽的表現に幅をもたらしている。マクラフリン独特の早弾きがありの、超強烈な個性とアイデンティティを持った4人のキャラクターが明確に表現されながら、何かが突出することなく至極自然に融合したサウンドは誠に素晴く感動的だ。これもマンフレート・アイヒャーの成せるプロデュースの極理なのだろうとあらためて感心する次第だ。
 さすがECM作品だけあり、シャクティとは違った静的な表現に深みと安らぎを感じる。フルート「バンスリ」(インド音楽で使われる竹のフルート)の名手ハリプラサド・チャウラシアもインドの歴史に残ると言われるだけあり大変素晴らしい。真夏の避暑地でさりげなく流していたい、美しく深遠なる大人の音楽。(一幸斉)
★アーティスト
Zakir Hussain tabla, percussion, voice, Hariprasad Chaurasia flutes,
John McLaughlin
acoustic guitar, Jan Garbarek tenor, soprano saxophones
★アルバム・データ
Recorded December 1986
Rainbow Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik kongshaug
Cover Photos: Chistian Vogt
Liner Photos and Design: Dieter Rehm
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1349

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2005年7月27日 (水)

「Magico」Charlie Haden, Jan Garbarek, Egberto Gismonti

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 チャーリー・ヘイデン、ヤン・ガルバレク、エグベルト・ジスモンチという個性派プレーヤーの合作。昨今スローとか癒し系というものが流行のようだが、当作品に比肩できる真のスローミュージックはないと「マジコ」は太鼓判を押せる傑作であり名盤だ。これほど、ひたすら心地く優しく暖かく理屈抜きに、ただただ聴き惚れてしまう作品が他にどれほどあろうか。そして聴き終えた後の余韻がたまらない。胸中に優しい温もりがほんわりと浮かんで、なかなか消えようとしない。
 生まれも経歴も全く違う各々強烈なアイデンティティを持った3人が繰り広げる至極自然なインタープレーは、ジャズの概念に収まるとか外れるとかという感覚では捉えきれない崇高な音楽芸術である。民族・国土を越えた深く広い精神性がこのように結実した作品は本当に希少だ。これもマンフレート・アイヒャーの成せる極理であろう。
 全体的なサウンドカラーはジスモンチによるところが大きい感がするが、各々が持ち寄った楽曲は個性の違いが何ともいえないコントラストを醸し出しており、特に「サイレンス」は筆舌に尽くしがたい極上の出来である。
 ヘイデンの説得力のある渋くぼくとつなベースプレイや、ガルバレクの聴き手に切迫感を与えずに情感の高ぶりと秘めたパッションを表現するサックスには本当に感動する。ジスモンチの鋭い感性による美しいメロディーと静寂と躍動感とを共存させたアドリブは、誰人も成しえない至高の音世界を感じる。(一幸斉)
★アーティスト
Charlie Haden bass, Jan Garbarek saxophones,
Egberto Gismonti
guitars, piano
★アルバム・データ
Recorded June 1979
Talent Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik kongshaug
Cover Photos: Herbert Wenn
Liner Photos: Dag Alveng
Design: Barbara Wojirsch
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1151

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2005年6月16日 (木)

「 Evening Falls 」 Jacob Young

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IMG_ecm_1876 新進気鋭のノルウェー人ギタリスト、ヤコブ・ヤングのECMデビュー作「イヴニング・フォールズ」。2管を配したギター・クインテット。ジム・ホールの影響を感じるオーソドックスなジャズ・ギターの上に彼独特のセンスが光る。北欧ジャズならではの透明感あふれる快作である。
 アルバム全体の印象は、優美で感傷的な作風が新鮮である。旋律の相互作用と即興の余白を備えた絶妙なジャズ作品である。それはどこかで聴き馴染んできたように親しみを感じる自然さが心地よい。曲はすべてヤコブ・ヤングのオリジナル、6曲目のみクリステンセンとの共作だ。
 1曲目がとても印象的だ。5拍子であるが、どこか郷愁を誘う感傷的な旋律が変拍子を全く気にさせない。ヤング(ギター)とマッツ・エイラートセン(ベース)の対位法的アンサンブルに引き込まれつつ、抑揚を効かせたマティアス・アイク(トランペット)のソロが絶妙である。曲によりヤングはアコースティックとエレクトリック・ギターを弾き分けている。特にエレクトリックの場合はジム・ホール系のフレーズが聴ける。ヴィダー・ヨハンセン(バス・クラリネット)は地味ながら、その包み込まれるような暖かい響きには、アイク(トランペット)との陰陽のコントラストが何ともいえない。歌心豊かなエイラートセン(ベース)はアンサンブルに幅を持たせ、ECMの重鎮ヨン・クリステンセン(ドラム)のプレイは貫禄十分である。余談だが、このゆったりとしたギター&ホーン・サウンドは、ミック・グッドリックの「In Pas(s)ing」ECM1139にも似た雰囲気を感じる。(一幸斉)
★アーティスト
Jacob Young guitar, Mathias Eick trumpet, Vidar Johansen bass clarinet
Mats Eilertsen double-bass, Jon Christensen drums
★アルバム・データ
Recorded December 2002
Rainbow Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik kongshaug
Liner Photos: Dag Alveng
Design: Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1876

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2005年5月28日 (土)

「Electra」 Arild Andersen

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IMG_ecm_1908 アリルド・アンデルセンECMで16作目の作品「エレクトラ」。タイトルの「エレクトラ」とは、ギリシャ三大悲劇詩人の一人ソフォクレスの作品(初演紀元前420年頃)である。オリンピックを2年後に控えた2002年アテネ。ギリシャ人舞台監督ヤンニス・マルガリティスはオリンピック文化事業の一つとしての「エレクトラ」の舞台音楽を、アリルド・アンデルセンに依頼した。それは、いにしえの舞台を現代的な音楽によって蘇えらせる企画であった。
 「エレクトラ」の舞台は、ミケーネ王アガメムノンが妻クリュタイムネストラとその愛人アイギストスに暗殺される。それから7年、次女のエレクトラは父への想いと悲しみ、母への憎しみの中で生き、遠くに避難させた弟オレステスが復讐のために帰ってきてくれるという希望だけが心の支えであった。そして弟オレステスは異国の地で立派に育ち父の復讐のため、つまり母を殺害するために戻ってくる。弟オレステスの護り役の老人がオレステスが死んだという嘘を伝える大芝居を打つ。コロスと呼ばれる集団俳優が観客の想いを代弁し歌い踊る。遂にはオレステスが母に続きその愛人アイギストスへの復讐を果たすために、かつて父が暗殺された館へ向かうところでクライマックスを迎える。
 さて本CDの内容だが、古代ギリシャを想わせる壮大な構成で圧巻だ。サウンドは一聴して東洋的な旋律と作風を強く感じさせられる。ギリシャを代表するシンガー、サヴァーナ・ヤナトゥーの凛とした歌声、ツイン・パーカッションによる立体的重厚なリズム、そしてノルウェーのクラブジャズ・レーベル「ジャズランド」の新世代ミュージシャンの参加によるサウンドは、古代と近未来が融合した超現代的な雰囲気を作り出している。ノルウェージャズ界の重鎮アリルド・アンデルセンが織り成す壮大な世界にジャズが進化し生きていることを感じた。(一幸斉)
★アーティスト
Arve Henriksen trumpet, Eivind Aarset guitars, Paolo Vinaccia drums, percussion, Patrice Héral drums, percussion, voice, Nils Petter Molvær drum programming, Savina Yannatou vocal, Chrysanthi Douzi vocal, Elly-Marina Casdas chorus vocal, Fotini-Niki Grammenou chorus vocal, Arild Andersen double-bass,

An ECM Production
ECM 1908

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2005年5月25日 (水)

「The Triangle」Arild Andersen

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 アリルド・アンデルセン「ザ・トライアングル」。全く新しいコンセプトのピアノトリオ。この美的感覚は並みではない。各メンバーの持つルーツとマインド及びキャリアの融合から生まれる旋律美とインプロビゼーション感覚は、過去に類を見ないジャズの新境地といえよう。
 このトリオ第1作「Achirana」に続く今作品は、ノルウェー、ギリシャ、イギリスからなるヨーロッパの三角形という「ザ・トライアングル」とのタイトルに相応しい趣のある傑作。
 特筆すべきはギリシャ出身ヴァッシリス・ツァブロプーロスのピアノだ。クラシック畑出身の彼は演奏家・作曲家としてクラシックとジャズの二つの顔を持つが、その音楽的魅力と演奏の語法やタッチ及び表現感覚には、典型的なジャズのスタイルを感じさせるところが少ない。またクラシック畑出身ということでは括ることが出来ない部分が多く、それは多分ギリシャという歴史的背景とそのルーツからくる、古典音楽をはじめとする彼のキャリアにあるのであろう。
 作品リーダーであるノルウェー出身アリルド・アンデルセンのベース、イギリス出身ジョン・マーシャルのドラムも、ルーツやキャリアは違うもののECM初期から作品を残し続けている経験豊かな超ベテランである。その厚みと深みある音楽性及び演奏はツァブロプーロスの個性を上手く引き出し際立たせ、作品全体を極上のアートに磨き上げている。
 アルバムの構成はジャズ色の強い曲もあるが、デリケートな曲が主体である。ラヴェル作曲の「パヴァーヌ」は並みのピアノトリオでは成し得ない仕上がりであろう。ラストの「シンデレラ・ソング」に至ってはバラードの極み美しすぎる。まさに目の前でシンデレラがガラスの靴を履いて踊っているかのようだ。(一幸斉)

★アーティスト
Vassilis Tsabropoulos piano, Arild Andersen double-bass,
John Marshall drums
★アルバム・データ
Recorded January 2003
Rainbow Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik kongshaug
Cover Photos: Thomas Wunsch
Liner Photos: Roberto Masotti
Design: Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1752 UCCE-1040(日本版)

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「Promises Kept」 Steve Kuhn

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 スティーヴ・キューン「プロミス・ケプト」。ECMの作品としては異色の作品。スティーブ・キューンの個性が前面に出ていながら、カルロス・フランゼッティのストリングス・アレンジに包み込まれた甘美な仕上がりは、誰にでも聴き易すく肩の力を抜いて聴けるフレンドリーなECM作品。
 この作品に「Produced by Manfred Eicher」の記載がないところをみると、キューンを中心に参加アーティスト主導で制作されたことが伺える。サウンドしかりアルバム・データからしてアイヒャー色が薄いと感じる。最近の彼の作品には日本制作企画盤が多いことも関連があるのかもしれない。
 全体がピアノコンチェルト的な構成。楽曲は過去に録音されている曲(1,2,3,9)が含まれており、この4曲はキューン独特の旋律が鮮烈である。2,3曲目は彼の名を知らしめた名盤でもあるECM第一作「トランス」からのナンバー。特に「ライフズ・バックワード・グランス」はキューン自身がハンガリー系アメリカ人であるということへの根源的郷愁を感じさせる。多分彼自身その想いが強いのだと想う。
 キューンの独特な旋律には、彼の両親がハンガリー移民であるというそのルーツが大きな影響をもたらしていると想われる。ハンガリーは多様な民族性に支えられた豊かな文化で有名。ベラ・バルトークに代表されるように多様な民族音楽にインスピレーションを受た音楽家も多い。やはりルーツから来るソウルフルな旋律には心を打つものを感じる。(一幸斉)

★アーティスト
Steve Kuhn piano, David Finck bass,
String Ensemble Violins: Krista Bennion Feeney, Elizabeth Lim-Dutton, Richard Sortomme, Karl Kawahara, Barry Finclair, Helen Kim, Robert Shaw, Carol Pool, Anca Nicolau, Violas: Sue Pray, Vince Lionti, Karen Ritscher, cello: Stephanie Cummins, Richard Locker, Joshua Gordon
★アルバム・データ
Recorded June and September 2002 Edison Studios, New York
Recording Producer: Arthur Moorhead
Recording Engieer: Gary Chester
Assistant: Yvonne Yedibalian
Remix, Mastering: Jan Erik kongshaug and Manfred Eicher Rainbow Studio,Oslo
Cover Photos: Dieter Rehm
Liner Photos: Robert Lewis
Design: Sascha Kleis
An ECM Production
ECM 1815, UCCE-1038(日本版)

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2005年5月18日 (水)

「Endless Days」Eberhard Weber

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 エバーハルト・ウェーバー2000年4月の作品「エンドレス・デイズ」。晩年の成熟期における傑作といえよう。その威風堂々たる格調高きサウンドは素晴しいの一言に尽きる。その音楽は他が比肩することが容易でない匠の領域に昇華されている。
 ECMデビュー作「カラーズ・オブ・クレー」より約30年、彼の音世界は一貫したイメージが流れており、それを何と表現したらよいか、ウェーバー独特のプログレッシブなアンビエントミュージックとでも言おうか。何かの物語を想起させる作風・アレンジは、古典的であったり現代的であったり幻想的あったりする。彼の作曲家および演奏家としての長年の経験で蓄積・消化されてきた、クラシックからジャズ、ロック、現代音楽等の音楽性は、晩年の成熟期を迎えての当作品において威厳を漂わせている。それはウェーバーならではの至極の音楽世界である。またそのサウンドを表現なしえる、参加のベテラン・プレーヤー面々も匠の貫禄である。
 ウェーバーの繊細なベースプレイが堪能できる詩情あふれるロマンティックなストーリー。ポール・マッキャンドレスの気品溢れるオーボエをはじめ木管楽器の響きは、その奏でるメロディーが聴き手の心を捉えて放さない。作品のアンサンブルの要となるライナー・ブリューニングハウスの質実剛健な揺るぎないプレイはまさに匠の領域だ。マイケル・ディパスクァのパーカッシブなプレイも作品に絶妙なコントラストをつけている。
 音楽を聴くに際して本来意識する必要もないことなのだが、ウェーバーの作品は聴いていて、記譜された演奏と即興の境界が判別できない部分が多い。本当に摩訶不思議のアンビエントミュージック的な音世界である。もしかしてこの作品は、ジャズファンよりプログレファンにお奨めの作品かもしれない。(一幸斉)

★アーティスト
Eberhard Weber bass, Paul McCandless oboe, english horn, bass clarinet, soprano saxophone,
Rainer Brüninghaus piano, keyboards, Michael DiPasqua drums, percussion
★アルバム・データ
Recorded April 2000
Rainbow Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik kongshaug
Cover Painting: Maja Weber
Design and Photos: Dieter Rehm
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1748

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2005年5月 2日 (月)

「Soul of Things」Tomasz Stanko Quartet

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 名盤登場。「ソウル・オブ・シングス」は、ECMベテラントランペッター、トーマス・スタンコによる3年ぶりのリーダーアルバム。カルテット(トランペット+ピアノトリオ)では1996年のレオシア以来。レオシアではリズム隊がECMきっての超ベテラン陣だったのに対し、今作はマルチン・ボシレフスキ(P)スワヴォミル・クルキエヴィッツ(B)ミハウ・ミスキエヴィッツ(D)の若手を起用。さすがに演奏のレベルや幅はベテランに敵わないものの、この若手陣もベテランに負けじとプレイもセンスもかなりのレベル。作品の出来はトーマス・スタンコによるものが大きいが、スタンコと若手リズム隊のコラボレーションに違和感は全くなく、絶妙たるアンサンブルと曲想には脱帽だ。これぞポーランド・ジャズの美学かと思わせる作品である。ソウル・オブ・シングスVar.Ⅰ-XIIIの一曲一曲がストーリーを醸し出す組曲的な作品。
 Ⅰはシンプルなモチーフからストーリーが開いていくような、オープニングにふさわしい厳かな展開。Ⅱからは物語がするすると心地よく流れ出し、ストレートアヘッドな4ビートの曲、メロディアスな曲がバランスよく構成され、特にⅣのトーマス・スタンコの哀愁をそそる音色とメロディーがたまらない。Ⅶ・Ⅷは即興的要素が多い曲だが、このような曲でも粋なプレイが出来てしまうのも、リズム隊の若手の領域を超えるものを感じる。XIは物語のクライマックスを迎える感じが素晴しい。最後のXIIIは、アルバムタイトル名を感じさせるトーマス・スタンコのソウルフルなテーマとソロにグッときて、マルチン・ボシレフスキの消え入るようなやさしさに満ち溢れたピアノに包まれながら、物語が静かに扉を閉じていく。「あー、もう終わっちゃうの」というようなエンディング。これぞECMの渋さ。極みである。(一幸斉)

★アーティスト
Tomasz Stanko trumpet, Marcin Wasilewski piano,
Slawom Kurkiewicirz double-bass, Michal Miskiewicz drum
★アルバム・データ
Recorded August 2001
Rainbow Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik kongshaug
Cover:Still from "Eloge de l'amour" by Jean-Luc Godard
Photos:Andrzej Tyszko
Design:Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1788、UCCE-1021(日本版)

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2005年5月 1日 (日)

「In Praise of Dreams」 Jan Garbarek

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 ノルウェー出身ヤン・ガルバレクの最新アルバム「イン・プレイズ・オブ・ドリーム」。ECM以外ではありえない作品。とにかく美しい。サックス・ヴィオラ・ドラムにシンセ・サンプラーというミニマムな編成とは思えない濃厚なサウンドは、ヤン・ガルバレクの熟された音楽世界とノルウェー人の持つソウルに由来すると思われる。ガルバレクの音には熱い血が通っていることを強く感じる。キム・カシュカシアンのヴィオラの存在も大きい。彼女はアルメニア系アメリカ人で、伝統音楽から現代音楽まで幅広くクラッシク界で活躍。彼女のヴィオラにも複雑なソウルを感じぜずにはいられない。ガルバレクとカシュカシアンは接点も多く、アルメニア人作曲家ティグラン・マンスリアンやギリシャ人作曲家エレニ・カラインドルーの作品他で共演している。出身キャリアの違う二人であるが、音楽においては微妙なニュアンスの点でさらに接近融合している感がする。ドラムのアフリカ系フランス人マヌ・カッチェはロック系の共演が多い中で映画音楽を担当するなど活躍の場は広い。
 この三人の織り成すデリケートで生々しいい音の息づかいはアコースティックからシンセ・サンプラーに至るまで明確に伝わってくる。ミニマムゆえの無駄を削ぎ落とした明晰かつ不思議な音世界。アルバム中のタイトルのネーミングを見ても「Knot of place and time(場所と時間の結び目)」「Conversation with a stone(石との会話)」「A tale begun(物語が始められました)」などの時空を跨ぐような言葉のイメージと音楽のイメージが醸し出す世界は、奥行きと広がりに富んでいて実に豊かだ。まるで夢で映画を見ているようだ。まさに「In praise of dreams(夢の賞賛)」である。(一幸斉)

★アーティスト
Jan Garbarek tenor and soprano saxophones and or synthesizers, samplers, percussion
Kim Kashkashian viola, Manu Katché drums
★アルバム・データ
Recorded 2003 at Blue Jay Recording Studio,Carlisle,MA(Engineer: James Farber), A.P.C.Studio,Paris(Engineer: Didier Leglise), and in Oslo.Edited,mixed and completed at Rainbow Studio by Jan Garbarek,Manfred Eicher, and Jan Erik kongshaug(Engineer)
Photos: Jan Jedlicka
Design: Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher and Jan Garbarek
An ECM Production
ECM 1880, UCCE-1046(日本版)

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2005年4月15日 (金)

「The Ground」 Tord Gustavsen Trio

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 ノルウェー出身トルド・グスタフセンのセカンドアルバム「ザ・グラウンド」。ECMならではのピアノトリオの秀作。多くの方に聴いてほしい理屈ぬきで心休まる作品。これぞ音楽・ジャズってこうでなくてはと再認識させられる。真摯に聴くべき上質なピアノトリオだ。
 トルド・グスタフセンのピアノは、控えめで繊細でありながら重い質感と内に秘める力強さが魅力。音楽的には北欧という国・民族・宗教性からくるソウルやフォークと、ジャズのルーツに流れるゴスペルを強く感じさせる、瞑想的で繊細なメロディーは他ではそうは簡単に聴けないと確信する。またインプロビゼーションの手法もテクニックに走ったソロを回すのではなく、楽曲の持つメロディーとイメージを壊すことなく、内に秘める情念をごく自然に展開していくさまには心から感動を覚える。これはメンバー全員が、曲のイメージとインプロビゼーションのあり方に一貫したポリシーを持っているからに違いない。それは音として認識できる物理的なものではなく心と心のインプロビゼーションなのであろう。その意味ではハラルド・ヨンセン(B)ヤーレ・ヴェスペスタ(D)のプレイは素晴しい。これぞ真のリリシズム溢れるピアノトリオであろう。
 アルバム全体の曲想は、硬質な曲とソフトな曲が交互にミックスされたような構成。曲ごとの説明は不要だろう。聴き手が思うがままに身をゆだねて聴き入ればいい。(一幸斉)

★アーティスト
Tord Gustavsen piano, Harald Johnsen double-bass, Jarle Vespestad drums
★アルバム・データ
Recorded January 2004
Rainbow Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik kongshaug
Liner Photos: Chris Tribble
Cover Design: Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1892

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2005年4月14日 (木)

「Suspended Night」 Tomasz Stanko Quartet

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 初のCDレビューです。ポーランド出身のトランペッター、トーマス・スタンコの作品「サスペンデット・ナイト」を紹介いたします。このアルバムのジャケットは、ジャン=リュック・ゴダール映画史からのスティルで、ここ暫くECMのHPを飾っています。前作「ソウル・オブ・シングス」には脱帽しましたが、この作品も大変素晴しい。
 今作は、一曲目のソング・フォー・サラと、サスペンデッド・ヴァリエーションズⅠ-Ⅹは組曲的な作品。ゆえに小品的な一曲一曲がそれぞれ前後の曲とストーリーを醸し出す構成です。メンバー個々のソロをフューチャーする部分は多くありませんが、陰陽に富んだ表現豊かなアンサンブルと緊張感が夜の帳を美しく表現します。本当にトーマス・スタンコの明暗に富んだ深い響きは心に沁みます。若手リズム隊の、マルチン・ボシレフスキ(P)スワヴォミル・クルキエヴィッツ(B)ミハウ・ミスキエヴィッツ(D)の絶妙のアンサンブルも、前作「ソウル・オブ・シングス」に勝るとも劣らない出来でしょう。若手ゆえに未成熟さを垣間見る部分も感じますが今後の期待は大です。
 アルバム全体の印象ですが、いやぁ、ソング・フォー・サラは一曲目からマジで痺れさせます。マルチン・ボシレフスキのピアノのイントロに始まり、トーマス・スタンコのトランペットが絡み始めるともうたまりません、ただただ蕩けるだけです。 二曲目以降のサスペンデッド・ヴァリエーションズはⅠのダークなイントロから小気味良い4ビートで始まり、Ⅲでは闇夜を漂わすようなイントロに続き、トーマス・スタンコの音色が温もりを燈し、陰と陽のコントラストが美しい。Ⅳは重厚なイントロから、マイルスの「ブルーイングリーン」を思わせるようなスタイリッシュな展開がGood!Ⅵは心休まるバラードで、本当にトーマス・スタンコの深く豊かな響きが心に沁みます。最後を飾るⅩはECMならではのクリスタル美。完璧です。これでいいのだ、これでいいのだ。(一幸斉)

★アーティスト
Tomasz Stanko trumpet, Marcin Wasilewski piano,
Slawomir Kurkiewicz double-bass, Michal Miskiewicz drum
★アルバム・データ
Recorded July 2003
Rainbow Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik kongshaug
Cover:Still from "Histoire(s)du cinema"by Jean-Luc Godard
Photos:Andrzej Tyszko
Design:Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM 1868, UCCE-1047(日本版)

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