2007年11月 5日 (月)

姉妹ブログ「Musikの幸せ」をスタート。

◆11月より「Musikの幸せ」をスタートしました。ECM以外のさまざまな音楽記事をアップしてまいります。「ECMの幸せ」「路地裏の幸せ」と併せて、御愛顧の程を宜しくお願いします。
 「Musikの幸せ」は一幸斉の音楽遍歴から、雑多なネタがランダムに登場いたします。ジャズやクラシックをはじめ民俗音楽や現代音楽にいたるまで、さまざまなジャンルのCDのレビューから、コンサートやライブのレポート、密かに始めているPC音楽製作のこと、楽器や音響機器の紹介など・・・・・ご期待くださいませ。どうぞ、お楽しみに!(一幸斉)

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2007年9月 1日 (土)

「Monodia」Tigran Mansurian, Kim Kashkashian

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Img_ecm_n_1850_51西アジアの国アルメニア出身の"ティグラン・マンスリアン"作曲と、アルメニア系移民のアメリカ人"キム・カシュカシアン"演奏による「モノディア」。この作品を語るには、まずアルメニアの歴史のお勉強が必要であろかと思うが、その歴史を一口では語ることは到底出来るものではない。紀元前:アルメニア王国から、1991年にアルメニア共和国として独立を遂げ現在に到るまでの約2000年間、その歴史は筆舌し難く想像を絶する。ローマ帝国とペルシャ帝国、帝政ロシアやオスマン帝国等の間にあって、帝国の緩衝地帯として時にその支配下や属国になる時代、10世紀頃には隣国の相次ぐ侵入で多くのアルメニア人が故国を捨てざるを得ない時代があり、独立後の現在も隣国との火種が燻っている。
 そこで当作品を聴くにあたり一言。アルメニアの背景を知るにつれ思うに、当作品は真摯に謙虚に心を静めて聴くことが肝要であると思います。
 そんな「モノディア」は確固たる信念に元ずく芯の通ったひたむきな作品である。アルメニアの歴史と民族の魂(ソウル)が、マンスリアンの作品とカシュカシアンの演奏に秘める炎のような熱き想いとして聴こえてくる感がする。"キム・カシュカシアン"は、私が「女流ECMアーティストで誰が一番好き」と訊かれたら、迷わず「音も演奏もルックスも"キム・カシュカシアン"が一番」と答えるほど大好きなアーティストであるが、その魅力の原点が当作品に内在していることを強く感じる。少々硬派な作品だが聴き応え十分の傑作。(一幸斉)
★アーティスト
Kim Kashkashian viola
Leonidas Kavakos violin
Jan Garbarek soprano saxophone
[Münchener Kammerorchester]
Christoph Poppen conductor
[The Hilliard Ensemble]
David James counter-tenor
Rogers Covey-Crump tenor
Andreas Hirtreiter tenor
Gordon Jones baritone
★アルバム・データ
Recorded November 2001 and January 2002
ECM New Series 1850_51

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2007年8月 8日 (水)

J.S.Bach「The Sonatas and Partitas for Violin Solo」Gidon Kremer

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今作ECM盤のJ.S.Bach「The Sonatas and Partitas for Violin Solo」は1980年のフィリップス盤より約20年ぶりに再録された作品。各方面より絶賛を浴びる高い評価は、すでに広く知れるところである。よって私(一幸斉)がレビューを書く余地はないと思うが、ECMファンとしての率直な思いだけを記したい。名盤といわれる1980年フィリップス盤がありながらの今作は、繰り返し聴いても聴き尽くせないほどの表現の計り知れない説得力と必然性があり、まさに前人未到の傑作であり新たなる名盤の誕生である。これは、まずクレーメルの素晴しさ凄さに存することは言うまでもないが、やはりマンフレート・アイヒャー率いるECMのプロデュースの本領・底力が発揮されたものと解釈すべきであろう。クラシックの王道をいく作品においても名盤を生み出すECMに万歳!J.S.Bachも時を越えて、さぞかしご満足お喜びのことと存じます。(一幸斉)
★アーティスト
Gidon Kremer violin
★アルバム・データ
Recorded March and September 2002
ECM New Series 1926-27

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2006年5月17日 (水)

「Der Bote - Elegies for Piano」 Alexei Lubimov

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Img_ecm_n1771_1■アレクセイ・リュビーモフ選曲・演奏による「エレジー・フォー・ピアノ」は、3世紀間のレパートリーから集められた慎ましい傑作群。それらの気取らない瞑想的詩情と作者の深い内的衝動が共通性として感じられる。エレジーとはギリシャ語のエレゲイヤに由来しエレゴスというのは追悼詩で、拡大解釈すれば追悼音楽とも言える。追悼、メランコリー、さまざまな時の流れや別離、失われた時へのノスタルジックな思いすべてが、「エレジー的な音楽のタイトル」に内在する。リュビーモフはエレジー的曲を関連付けたり対照させるように選曲しているのが窮めて妙味である。冒頭のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの「幻想曲(1787年)」が最も近代的に聴こえたり、シルヴェストロフの「メッセンジャー(1996・7年)」がまるで18世紀のの作品のように聴こえたりすることも、奇妙でありながら必然である。またグリンカ・ショパンの作品の優しさと、リスト・バルトーク・ドビュッシーの作品の抑制的慎ましさは対照的で、コントラストが効いている。そして最も前衛的な作曲家であるジョン・ケージの「ある風景の中で」が繊細で詩的な華を披露する。それは西洋の対極にある東洋の「蓮華」ようだ。このリュビーモフの豊かで幅広い表現力と作品への絶妙な解釈は、これらの作品を見事に昇華している。聴けば聴くほどにエレジーかな、時空を超えた感性の記憶が縦横無尽に連鎖し、もう至極最高。さすがECMである。ちなみに、私が「Der Bote - Elegies for Piano」を始めて耳にしたのは、【柴原珈琲店】でした。(一幸斉)
★アーティスト
Alexei Lubimov piano
★アルバム・データ
Recorded December 2000
Radio DRS Zurich
Tonmeister: Peter Leanger
Cover: Jan Jedlicka
Photos: Christoph Egger
Design:Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM New Series 1771

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2006年5月 6日 (土)

柴原珈琲店。

■私「一幸斉」お気に入り柴原珈琲店(ECM・CDコレクション有)をご紹介します。
初めて伺ったときは、ちょっとカルチャーショックだったくらい珈琲と雰囲気が最高です。神戸・萩原珈琲の炭火焙煎を使った深いコクと豊かな香りは格別な味わいで、もう最近巷で見うける流行店には戻れません。注文を受けてから豆を挽き一杯ずつ丁寧に淹れてくれる、ご主人の仕事振りにも深く感心いたします。世間で忘れかけている自然なおもてなしが心地よいです。タンノイから流れるクラシック音楽を聴きながら、ゆったりとした時間を気楽に過ごせる大人の空間が有難く思います。さらに嬉しいのはECMのCDコレクションがあること。おまけに禁煙のお店ということで安心してくつろげます。(一幸斉)

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2005年6月27日 (月)

「Federico Mompou / Música Callada」Herbert Henck

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IMG_ecm_n1523 ヘルベルト・ヘンクECMデビュー作品、「フェデリコ・モンポウ/ムジカ・カラーダ」。この作品がECMから発表されたことに、誠に興味深い感がする。それはムジカ・カラーダとのタイトル(直訳で「音なき音楽」)にある。モンポウが傾倒したスペインの詩人サン・ホアン・デ・ラ・クルースの「高鳴る沈黙、音なき音楽」という作品があり、モンポウは深くその意を汲んで、自分の最も秘めやかな音楽想念の作品にこのタイトルをつけたと言われている。
 ですから、これは「沈黙に次ぐ最も美しい音」を追求するECMの作品として当にはまりにはまった企画といえよう。作曲家の内奥にある詩的想念から零れ落ちた沈黙の音を見事に表現した名盤である。大人のスローライフにぴったりの音楽としてもお奨めだ。
 ヘンクは1948年ドイツ・ヘッセンに生まれる。マンハイム音楽院、シュツゥットガルト高等音楽院でピアノを学び欧州・北南米で精力的に活動を展開。一方で20世紀のスペシャルな作曲家、中でも過小評価されている作曲家を積極的に採り上げている。
 モンポウは母方にフランス系の血を引くスペインの作曲家。1893年バルセロナ生まれ1987年没。バルセロナのリセオ音楽院に学ぶが,エンリケ・グラナドスの推薦で1911年にフランスのパリ音楽院へ進む。フォーレとマルグリット・ロンの演奏会を耳にしてフォーレに傾倒。イシドール・フィリップとフェルディナンド・モット=ラクロワにピアノを、マルセル・サミュエル・ルソーに和声法及び作曲法を師事。
 小節線や調性記号のない「プリミティヴ・スタイル」と呼ばれる手法で自由で感覚的な和声による作品を残し、音楽史上特異な位置を占める近年再評価著しい作曲家。
 形式面ではエリック・サティ、和声法や旋法の面ではクロード・ドビュッシーの影響が濃く、土着民謡や東洋音楽に影響を受けた簡素な形式と近代的な和声とを巧みに組み合わせた極めてナイーブで内省的なスタイルを確立。(一幸斉)
★アーティスト
Herbert Henck piano,
★アルバム・データ
Recorded August 1993
Festeburgkirche Frankfurt am Main Tonmeister: Andreas Neubronner
Photo: EFE Agency
Cover Design: Barbara Wojirsch
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM New Series 1523

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2005年4月30日 (土)

「Chants, Hymns and Dances」 Anja Lechner cello / Vassilis Tsabropoulos piano

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 ECMニューシリーズからの作品。ドイツ人のアニヤ・レヒナー(チェロ)とギリシア人のヴァッシリス・ツァブロプーロス(ピアノ)による「Chants, Hymns and Dances(聖歌、讃歌、舞踏)」は、東洋的旋律が鮮烈で胸を打つと共に親近感を覚える。アジアとヨーロッパとが交差する背景から生まれた、東洋と西洋、作曲とアレンジと即興、過去と現代、さまざまな要素において境界線をぼかす魅惑的作品。前半と後半にグルジェフの楽曲が、中間にツァブロプーロスの楽曲が配され、弧を描くように構成されている。この録音で、グルジェフの楽曲はこれまでになく自由に扱われ、即興的要素が自然な感じをもたらしている。ツァブロプーロスの楽曲はビザンツ音楽への即興的アプローチを試み、レヒナーのチェロの参加によって手にした自由とリリシズムを漂わせている。それはまたギリシャが東洋への始まりであることを想起させる音楽でもある。
 レヒナーとツァブロプーロスはクラッシクの演奏家でありながら即興の経験があり当作品に功を奏していると思われる。レヒナーはタンゴ・ヌオーボからフリーな演奏までの即興を経験し、記譜されたものと自然発生的なものとの区別を曖昧にするようなプロジェクトにも関わってきた。ツァブロプーロスはクラッシクとジャズの演奏家および作曲家として明確な二面性を持ち活動している。
 少しグルジェフについて触れておこう。彼はアルメニアとトルコの国境の町アレクサンドロポルで、1877年ギリシャ人の父親の元に生まれた。南コーカサス地方は複数の民族と宗教が混ざりあった独特の文化風土をもつ。彼は人間の生の意味にかかわる真理を探究し、その答えを東洋の秘教的伝統のなかに求め、前半生の約二十年を、小アジアからコーカサス地方、西南アジア、中央アジアの国々へ、東洋の辺境をめぐる探求の旅に費やした。その旅の内から種々の精神的な伝統を研究して、民謡、農民の踊り、神聖で儀式的音楽や歌・踊りが、おぼろげに記憶され、弟子でウクライナの作曲家/ピアニスト/ハルトマンへの口伝および記録により、現在でも演奏が可能となった。(一幸斉)

★アーティスト
Anja Lechner cello, Vassilis Tsabropoulos piano
アルバム・データ
Recorded December 2003
Festeburgkirche,Frankfurt am main
Tonmeister: Markus Heiland
Cover: Jan Jedlicka
Photos: Roberto Masotti (pp. 6-9)
Ruben Mangasaryan /Patker Photo Agency
Design:Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher
An ECM Production
ECM New Series 1888, UCCE-2038(日本版)

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